Monday, July 17, 2017

[UE4] JAXAのGioTIFFから実物大ランドスケープを生成する

JAXAが無償公開している全世界の標高データをUE4に読み込ませてみました。 
標高データは http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/aw3d/index.htm からダウンロード可能です。

GeoTIFFという形式になっており、そのままではUE4では使えません。
gdal_translate.exeという変換プログラムを使って16bit PNG形式に変換します。
gdal_translateは、 http://www.gisinternals.com/ のものを使用しました。

北緯42度、東経140度のデータをUE4で使えるように16bit PNGに変換します。

gdal_translate.exe -of PNG -ot UInt16 -scale -32768 32767 0 65535  N042E140_AVE_DSM.tif 

-scaleというオプションを付けて、-32768~32767の範囲の値を0~65535の範囲にマッピングし直します。UE4ではどうやら32768をゼロとみなしており、-scale指定無しでははるか下方に地面が生成されてしまいます。一方、元データは符号付きのメートル単位の標高なので、32768を足してUE4に合わせました。

スケールの設定ですが、 せっかくなので標高を実物大にしてみます。https://wiki.unrealengine.com/Landscape_-_Sizes_and_Height_Guide
この資料によると、Zのスケールが100なら範囲が-256メートルから+256メートルになるそうです。Zのスケール1あたり2.56メートルですね。PNGに変換するときに-scaleオプションで標高の最大を32768にしたので、32768 / 2.56 = 12800 をZのスケールにすると実物大になります。

次に、XY方向を実物大にすることを考えてみます。上の資料によるとどうやらハイトマップの1ピクセルが1メートルに対応しているようです。JAXAの標高データは地球の1arcsecである約30メートル解像度なので、3000cmを掛ければY方向(南北)は実物大になります。X方向(東西)は北緯42度地点では1arcsecが赤道を1とした場合cos(42)にしないと大きさが合いませんが、UE4のランドスケープの仕様上XとYの方向の倍率を別々に指定できません。今回はX方向も3000にして我慢します。



これがほぼ実物大でインポートするScale設定になります。

マテリアルはレイヤーを用いず、標高で緑と青を塗り分ける適当なものです。


ところで、実物大になったゆえの問題が、100km四方に及ぶ広大な領域を持て余していまいち面白くないというのがあります。またUE4特有の問題として、座標値にして100万くらい(約10km)を超える場所では正常なレンダリングが保証されない問題があります。その大きさはソースコード上にHALF_WORLD_MAXというマクロで定義されています。

そこで、XYを1/10スケールである300にします。標高が強調されて地形がわかりやすくなり、面白みのある風景が出現しました。

マネキンを羊蹄山の山頂1898Mに配置し、標高が再現されていることが検証できました。
ALOS全球数値地表モデル (c)JAXA
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/aw3d30/index_j.htm


Wednesday, June 28, 2017

[HLSL] シェーダ内に定数を定義したつもりだが値が割り当てられない問題

HLSLでは関数の外に変数を値付きで記述ができますが、この宣言だけでは見た目に反して変数から正常に値を読み出すことができず、エラーも出ません。 C++側から値を変更するつもりが無いならstaticをつけることで定数になり、意図通り動作します。(constではないです) staticを付けなかった場合、NSIGHT等で見ると暗黙のコンスタントバッファが生成されることがわかります。ところが肝心の値が代入されず、0で埋まっています。なぜ文法的に許容されるか不可解に思えるところですが、今は非推奨となったD3DX11Effectを使うと、暗黙のコンスタントバッファに宣言通りの値を代入してくれます。(そして、D3DX11Effect::Applyを呼ぶと内部でVSSetConstantBuffers、PSSetConstantBuffers等の呼び出しまでしてくれます)

コードをモダン化するためにD3DX11Effectを取り除く作業中に分かり難いバグに遭遇したら、暗黙のコンスタントバッファがないか確認してみると良いかもしれません。

Monday, February 27, 2017

[DX11] DXGI_FORMAT_R32_TYPELESSのTYPELESSとは?

CreateTexture2DでDXGI_FORMAT_D32_FLOAT型のデプスバッファを作る時に以下のようなエラーが発生する場合、DXGI_FORMAT_D32_FLOATの代わりにDXGI_FORMAT_R32_TYPELESSを指定してエラーを回避できます。

D3D11 ERROR: ID3D11Device::CreateTexture2D: The format (0x28, D32_FLOAT) cannot be bound as a ShaderResource or cast to a format that could be bound as a ShaderResource. Therefore this format cannot support D3D11_BIND_SHADER_RESOURCE.  Specifiying the format R32_TYPELESS instead would solve this issue.  [ STATE_CREATION ERROR #92: CREATETEXTURE2D_UNSUPPORTEDFORMAT]

つまり、デプスバッファとしてレンダリングに使った後、SRVとしてシェーダから参照させたいならCreateTexture2Dの時はDXGI_FORMAT_R32_TYPELESSにしなければいけません。そして、そのテクスチャからSRVとDSVを作る場合、CreateShaderResourceViewにはDXGI_FORMAT_R32_FLOAT、CreateDepthStencilViewにはDXGI_FORMAT_D32_FLOATをそれぞれ指定します。

おそらく、DSVとSRVをそれぞれD32、R32として作るのでCreateTexture2Dではテクスチャを型が未定のストレージと規定して齟齬が起こらないようにする意図と思われます。

Thursday, February 2, 2017

6年前のNVIDIA Direct3D SDK 11を今の環境でコンパイルする

NVIDIAの"Direct3D SDK 11"はIsland11を始めとした良質なサンプルのソースコードが入っているので時々いじってみたくなります。しかし古いサンプルなので、Visual Studio 2015とWindows 10でコンパイル+実行するには一手間掛ける必要があります。


ソリューション内の各プロジェクトに以下の変更を行います。

  • *.fx, *.hlslはプロジェクトから除外しておきます。(Removeで除外、あるいはExcluded From Build設定)VS2015はこれらがプロジェクトにあるとコンパイルしようとしますが、シェーダーバイナリを使うプロジェクトがないのでその必要はありません。
  • ConfigrationをDebugにするとd3dx11effectsd.libが無いと言われてビルドできません。'd'の無いd3dx11effects.libはNVIDIA Corporation\NVIDIA Direct3D SDK 11\Libの下にあり、Releaseにしておくとリンクできます。参考:https://www.gamedev.net/topic/602742-getting-nvidia-sdk-samples-to-compile/
  • Additional Include Directoriesに;%DXSDK_DIR%\Includeを追加
  • Additional Library Directoriesに;%DXSDK_DIR%\Lib\x86を追加
  • __vsnwprintfが無いと言われるので、Additional Dependenciesにlegacy_stdio_definitions.libを追加
  • Treat Warnings As ErrorsはNoにしておきます。DXGI_*系のマクロがWindowsSDKに取り込まれた結果、再定義されたと警告が出るようです。又は、C4005警告をDisable Specific Warningsに入れてもいいのですが、これ以外にも警告が多いので一括で許可したほうが簡単です。
  • TerrainTessellation.cppで、powfとstd::maxのコンパイルが出来ないので、#include <algorithm>を追加
ただ、プロジェクトの数が多いので、一つ一つ設定するのは大変です。そこで、少々乱暴ですが以下のようにします。

  • C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\NVIDIA Direct3D SDK 11\Include\DXUT\Core にDirectX SDKのヘッダファイルを入れてしまう。
  • C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\NVIDIA Direct3D SDK 11\Lib にも同様に C:\Program Files (x86)\Microsoft DirectX SDK (June 2010)\Lib\x86 からライブラリファイルを持ってくる。
  • NVIDIA Direct3D SDK 11\Include\DXUT\Core\DXUT.hに、以下の行を追加する。
    #pragma comment(lib,"legacy_stdio_definitions.lib")
    #pragma warning(disable:4005)
これで、大部分のプロジェクトはHLSLファイルを除外するだけでビルドに成功するようになります。

更に、Debugでビルドするには、d3dx11effectsd.lib、dxutd.lib、dxutoptd.libといった、いくつかのライブラリが存在しておらずリンクできません。これは、DirectX SDKのSamplesフォルダに含まれるいくつかのプロジェクトをDebugでビルドしたものです。ビルドしたlibファイルをNVIDIA SDKの下のLibフォルダに置けばリンクできるのですが、NVIDIAの開発者がファイル名をリネームして使っているようです。
  • Samples\C++\DXUT11\Core\DXUT_2010.slnからDXUT.libが出来ますが、DXUTd.libにリネームします。
  • Samples\C++\DXUT11\Core\DXUTOpt_2010.slnからDXUTOpt.libが出来ますが、DXUTOptd.libにリネームします。
  • Effects11_2010.slnをビルドしようとすると、static void* __cdecl operator new(size_t s, CDataBlockStore &pAllocator) という関数がERROR C2323"non-member operator new and delete functions may not be declared inline"というエラーになります。これは、staticをinlineに変更するとコンパイルできます。Effects11.libというファイルが出来ますが、d3dx11effectsd.libにリネームします。
これらのslnファイルはProgram Filesの下にあり、Windows10環境で開くと"Do you want to restart the application with elevated permissions?"と、Visual Studio 2015から権限上昇を求めるダイアログが開きます。"Restart this application under different credentials"を押してコンパイルするか、該当のプロジェクトをユーザー権限でコンパイル出来る場所にコピーしてからコンパイルします。

Sunday, January 8, 2017

[Vulkan] VK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFER_DYNAMICが便利

VulkanのUniform Bufferには、VK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFERとVK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFER_DYNAMICの二種類がありますが、"DYNAMIC"はオフセットをコマンドバッファに一緒に積めるので便利です。

DirectX12やVulkanのような低レベルAPIでは、Constant buffer/Uniform buffer用に大きなGPU側バッファをまず確保しておいて、自前のアロケータで割り当てながら使うことになると思います。どのDraw Callがどのメモリ領域をConstant buffer/Uniform bufferとして使うかは毎フレーム変化するしかないので、Draw Call毎にGPUアドレスを渡すことになります。

それは、VK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFERを使っても可能なのですが、GPUアドレスはdescriptor setに書き込んで渡す必要があるので、uniform bufferを使う回数分vkAllocateDescriptorSetsとvkUpdateDescriptorSetsでdescritor setも作ってあげる必要があります。

VK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFER_DYNAMICを使うと、descritor setは1個だけ、大きなGPUバッファの先頭アドレスを書き込んだものを用意するだけで済みます。その代わりdraw call毎にvkCmdBindDescriptorSetsでUniform bufferをバインドするときにオフセットを指定します。複数のdescriptor setを管理する手間が省けるので便利です。

NVIDIAのドキュメントによると、NVIDIAのハードウェアで"Uniform Buffer Dynamic Binding"は速いのだそうです。
https://developer.nvidia.com/vulkan-shader-resource-binding

推測に過ぎませんが、NVIDIAのハードウェアではDirectX12の"Root Constant"が"Uniform Buffer Dynamic Binding"に相当するのかもしれません。
DX12 Do's And Don'tsのRoot Signaturesの項で"sit in the root"でバインドしたコンスタント/CBVが特にPixel Shaderで速いとされています。
https://developer.nvidia.com/dx12-dos-and-donts

SetGraphicsRootConstantBufferViewもDescriptor Heapを介さずにコマンドリストに直接GPUアドレスを乗せるという部分も、descriptor set1個を使いまわせるVK_DESCRIPTOR_TYPE_UNIFORM_BUFFER_DYNAMICに似ています。

Wednesday, November 2, 2016

Vertex Array Object(VAO)を使わない理由

OpenGL ES 3.xではVertex Array Object(VAO)が導入され、APIコールが減って効率的ということになっています。ところが、コーディングの特殊さによるVAOの弊害が多く、多分実行速度も変わらない気がしたので、VAOを使わなくてもいい理由を書いてみようと思いました。(ちなみに、Unreal Engine 4もVAOを使っていないようです)プラットフォームは主にAndroidを想定しています。

1. VAOが頂点バッファと結びつくのが困る


頂点バッファをシェーダに結びつけるいわゆる"Input Layout"はAPI毎に格納されるオブジェクトが違います。DX11ではID3D11InputLayout、DX12やVulkanではPSO(pipeline state object)、ES 3.xはVAOに格納されます。

そのうちVAOだけの厄介な点は特定の頂点バッファと結びつく仕様になっていることです。実務でもありそうな例として、モンスターA、B、Cを、Gバッファ生成シェーダー、シャドウマップ生成シェーダ、光学迷彩シェーダで描画するとします。頂点バッファから送るのはGバッファは全情報、シャドウマップは座標だけ送れば十分、光学迷彩はテクスチャマッピングを省くことにします。

VAOを使って必要な情報のみ必要なシェーダに送るためには、モンスター3種とシェーダー3種、3x3=9個のVAOが必要になります。さすがにこのような煩雑なことはしたくないので、実際にはモンスター毎に1つずつVAOを作って、それぞれ頂点の全情報を送るように設定し、あとはドライバレベルでの最適化に託す、という書き方になりそうです。

2. わかりにくいバグを作りやすい


経験上、描画が終わったらglBindVertexArray(0)でVAOのバインドを忘れず解除すべきです。なぜなら、バインドしっぱなしにすると他の描画モジュールがバインド中のVAOを書き換えることが出来てしまい、どこでどう地雷を踏んでいるかわからない難解なバグとなります。

描画の為のglBindBufferやglVertexAttribPointerのみならず、glBindBufferの周辺はVAOを書き換える可能性に気を使います。例えばインデックスバッファを生成したり書き換えたりする時にglBindBufferを呼びますが、これがよそのVAOを壊してしまうかもしれません。


3. VAOでAPIコールを減らしても(多分)速くならない


VAOを採用する動機は、なんとなく速そうという期待ではないでしょうか。しかし、本当に速くなるでしょうか。VAOが無いES2.0は、頂点バッファを切り替える度にglBindBufferとglVertexAttribPointerの複数回に及ぶコールで毎回”Input Layout"に該当する情報をドライバに伝えます。それが省ける点はVAOが有利に見えます。

ところが、DX12やVulkanを見るとVAOは少なくとも最近のハードウェアの実装からかけ離れている事が想像できます。バッファはコマンドリストに乗るGPUアドレスに過ぎず、Input LayoutはPSOの一部に過ぎません。この2つを取り出して1つにまとめる事そのものに最適化的な利点は期待できなさそうです。

OpenGLのドライバの実装を想像してみます。GLも内部でPSOのような物を持っているはずです。PSOの生成は重い処理なので、一回作ったらハッシュ値などで探せるようにして実体をキャッシュしておくでしょう。他のステートが決まらないとPSOが確定できないので、ハッシュ値の計算もPSOの生成もすぐには行われず、ドローコール(glDrawElements等)のタイミングで行われるはずです。

こう考えると、glVertexAttribPointerにしろ、glBindVertexArrayにしろ、ハッシュ値を計算するための元データの提供に過ぎず、バッファのバインドを除いてCPU内で完結しています。VAOを使ったほうがAPIの呼び出しは減るかもしれませんが、無理にVAOを使って得られるものがあるわけではなさそうです。

別の視点から見てみると、また、現状多くのゲームが互換性のためにES2.0で実装されています。ドライバ開発者の立場としても、VAOありきで最適化できないと思われます。

4. ES2.0がまだまだ現役、そしてVulkanの登場


従来はES2.0をベースとして上位機種はES3.x採用という戦略がありました。今後は上位機種はVulkanで互換性のためにES2.0、という組み合わせが増えると思います。対応機種を狭める上に将来的にVulkanに置き換えられる運命にある、ES3.xの必要性が薄れてきました。

現在のようにAPIが移行期にある中では特定APIに依存しないように抽象化を試みることも多いと思いますが、VAOはその特殊さゆえに抽象化がとても難しいです。ES2.0のglVertexAttribPointerも非常に変則的ですが、使うシェーダが決まるまで頂点レイアウトの決定を保留できる分、VAOよりは抽象化はしやすいと言えるかもしれません。

Saturday, September 3, 2016

[DX12] VBV、IBVはAPI呼出し後すぐ破棄してもOK

頂点バッファの定義で、例えば以下のように2つの変数を定義して使うのを見かけると思います。

頂点バッファはID3D12ResourceとD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEW、インデックスバッファはID3D12ResourceとD3D12_INDEX_BUFFER_VIEWが必要です。一つのリソースに2つの宣言が必要で煩雑なのですが、実はVIEWの宣言は省略してもよさそうです。

DirectX11ではSRVやDSVなど、GPUから参照するリソースに付加情報を付けてバインドする構造をViewと呼んでいました。 DirectX12になってD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEW(VBV)やD3D12_INDEX_BUFFER_VIEW(IBV)という構造体がいわゆるViewの一種に加わりましたが、Viewの概念が若干変わったようです。DX11ではViewはその実体がGPU側にあるのかCPU側にあるのかは隠蔽されていました。それが、DX12ではGPU側なのかCPU側なのかは明確に区別されます。

この辺は、マイクロソフトのYouTubeのチャンネル「Microsoft DirectX 12 and Graphics Education」に登録されている「Resource Binding in DirectX 12 (pt.1)」に詳しいです。



8:30付近で出る表と13:00の解説によると、CBV、SRV、UAV、SAMPLERはGPUに配置され、それ以外のIBV、VBV、SOV、RTV、DSVはCPU側にのみ存在し、更にはドライバもVIEW(descriptor)の複製をコマンドリストに積むのでVIEWへの参照を保持しないとのことです。

MicrosoftのDirectX-Graphics-Samplesサンプル中、D3D12HelloWorldソリューションでは頂点バッファのID3D12Resourceに加えてD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEWやD3D12_INDEX_BUFFER_VIEWを保持していますが、1つのバッファに対して2つの変数を管理するのは二度手間に感じます。

この二度手間を解決するため、上の動画から得られた事実を利用します。アプリケーションはID3D12Resourceのみ保持し、VIEWはスタック上に毎回作ることにします。例えばインデックスバッファをコマンドリストに積むためにこんな関数を作れば、今後D3D12_INDEX_BUFFER_VIEW構造体の存在を忘れてしまうことができます。

同じDirectX-Graphics-SamplesでもMiniEngineの中では、スタック上に作ったD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEWやD3D12_INDEX_BUFFER_VIEWを直接コマンドリストに流すようになっているようです。

ところで、D3D12_INDEX_BUFFER_VIEWとD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEWは構造体でしたが、RTVやDSVはID3D12DescriptorHeapの形をとっています。これは実に奇妙に見えます。なぜなら、同じID3D12DescriptorHeapを使うSRVやCBVの場合、DescriptorがGPUメモリ上に存在し、シェーダーから参照されるため、プログラマはフェンスを駆使してID3D12DescriptorHeapの寿命管理を行わなければいけません。ところが、RTVやDSVはAPI呼び出し後はコマンドリストが実行前でもID3D12DescriptorHeapを破棄してもRTVやDSVを書き換えても構わないという事です。

内部の実装がも異なるオブジェクトが同じID3D12DescriptorHeapの形を取っているため、混乱の元になりそうです。

ともかく、この事実を利用して管理するオブジェクトを減らすことができます。以下はID3D12DescriptorHeapをスタック上に作ってOMSetRenderTargetsした後バッファをクリアする例です。ComPtrなのでID3D12DescriptorHeapは関数を抜けると消滅します。

残念ながら以下のコードはDebug Layerがエラーを出します。コマンドリスト実行終了前にID3D12DescriptorHeapを解放していないか検出するためにDebug Layerが参照しているようです。Debug Layerを外せば問題無さそうですが、まともにデバッグできないのでやめたほうがよさそうです。ただし、ID3D12DescriptorHeapを使わないVBVやIBVは前述の通りMiniEngineでもスタックに作って即破棄いるのでAPI呼出し後の破棄が合法と見て間違いなさそうです。


使い捨てにするとDebug Layerでエラーが出ますが、ID3D12DescriptorHeapをそれぞれ1個だけ作って毎回書き換えるように使うのはエラーにはなりません。上の動画の13:00に大丈夫と書いてあります。(もちろんSRVやCBVでこれをやるとアウトです)


DX12はアプリケーションがローレベルを意識するAPIなので、RTVやDSVもD3D12_VERTEX_BUFFER_VIEWのようにただの構造体にしてもよかったのではないでしょうか。そうすればGPU側はID3D12DescriptorHeap、CPU側はただの構造体、という風に住み分けができて分かりやすくなると思うからです。この辺は、おそらくはDX11時代のID3D11RenderTargetViewやID3D11DepthStencilView等の歴史的な経緯も関係がありそうです。