前回OpenSL ESでサウンドを再生しましたが、Activityが非アクティブになっても音が鳴り続ける問題がありました。それに対しての簡単な対処法として、バッファを細かく分けてEnqueueしてみました。Enqueueは32768バイト単位でしています。(サイズは適当です)
最終アップデートからの経過時間が0.5秒を超えたらコールバック無視します。この方法の長所は、コールバック一つでループ再生と非アクティブになった時の音停止を同時に実装でき、コードが簡潔になります。Activityから非アクティブの通知を受け取る必要もありません。短所としては、アップデートループで長い処理をすると音が切れてしまうことです。
また、停止した音を再開する処理を盛り込んでいません。ここは、ゲーム毎の実装依存が多いと思いあえてしませんでした。例えば多くの場合は再開すべき音はBGMだけであったりするでしょう。
AndroidのOpenSL ESはコールバックは別スレッドから来るので特に気をつける必要があります。Android特有の実装についてはNDKのdocs/Additional_library_docs/opensles/index.html に説明があるので、一度目を通しておくと良さそうです。
Friday, December 25, 2015
Saturday, December 12, 2015
実践OpenSL ES、AndroidでWAVファイル再生
OpenSL ESによるサウンドエンジンを使い物になるように書いてみます。
まず、気づくのはDirectXを彷彿させるインターフェース型のAPIであることです。多くのメソッドはSLresultで結果を返し、Destroyでリソースを解放して終了します。素直に書くと冗長なコードになりそうですが、まず最初にDirectX開発者にはおなじみの手法を導入します。
SafeDestroyはDestroy呼び出しと同時にnullptrを代入してダングリングポインタにならないようにします。
SLHandleErrorというのは、各種メソッドがエラーコードを返したらソースコード上の行数と関数呼び出しの概要をログに出力するためのマクロです。Direct3D9のサンプルでは"V"という一文字のマクロが多用されていましたが、それです。
SLCallは、インターフェース呼び出しをすっきり書きたいがために書いたマクロです。これを使ってエンジンの初期化と終了を書いてみます。
エンジンの初期化と終了が書けました。
DirectXから来ると戸惑うのが、SLObjectItfとその他インターフェースに分かれていることです。OpenSLでは全てのインスタンスの実体はSLObjectItfであって、何らかのメソッド呼び出しが必要になったらSLObjectItfから追加のインターフェースを取得します。また、SLObjectItfをDestroyするとSLObjectItfから取得したインターフェースも一緒に無効になります。
engineEngineがSafeDestroyではなくnullptrを代入しているのは、engineObjectをSafeDestroyした時に一緒に消滅しているからです。
次は、WAVファイルをロードして"audio player"を作ってみます。
CreateAudioPlayerで、WAVファイルの特性(ステレオ/モノラル、サンプリングレート、ビット数)に合わせた"audio player"を生成します。WaveFormatExはWindows APIにあるWAVEFORMATEX構造体で、この情報からSLDataFormat_PCM構造体を構築します。リファレンス通りに書くとまたコードが長くなりそうですが、例えばSL_SAMPLINGRATE_44_1は44100000と定義されていたりします。samplesPerSecondを1000倍して代入すれば良いわけです。事前定義値は https://www.khronos.org/registry/sles/api/1.1/OpenSLES.h にあります。
次はWAVファイルの再生部です。
Enqueueで再生するバッファを指定します。ループ再生する場合はコールバックを登録して、コールバックからEnqueueを繰り返します。コールバック設定前にSL_PLAYSTATE_STOPPEDを明示するのはステートがSL_PLAYSTATE_STOPPEDではない場合にSL_RESULT_PRECONDITIONS_VIOLATEDエラーが発生するためです。これはPlayメンバ関数が二回目に呼ばれた場合に起こります。
これで、OpenSLの初期化からWAVファイルの再生までができました。ところで、この方法だとActivityが非アクティブになっても音が鳴り続けるという問題があります。この解決は次回書きます。
まず、気づくのはDirectXを彷彿させるインターフェース型のAPIであることです。多くのメソッドはSLresultで結果を返し、Destroyでリソースを解放して終了します。素直に書くと冗長なコードになりそうですが、まず最初にDirectX開発者にはおなじみの手法を導入します。
SafeDestroyはDestroy呼び出しと同時にnullptrを代入してダングリングポインタにならないようにします。
SLHandleErrorというのは、各種メソッドがエラーコードを返したらソースコード上の行数と関数呼び出しの概要をログに出力するためのマクロです。Direct3D9のサンプルでは"V"という一文字のマクロが多用されていましたが、それです。
SLCallは、インターフェース呼び出しをすっきり書きたいがために書いたマクロです。これを使ってエンジンの初期化と終了を書いてみます。
エンジンの初期化と終了が書けました。
DirectXから来ると戸惑うのが、SLObjectItfとその他インターフェースに分かれていることです。OpenSLでは全てのインスタンスの実体はSLObjectItfであって、何らかのメソッド呼び出しが必要になったらSLObjectItfから追加のインターフェースを取得します。また、SLObjectItfをDestroyするとSLObjectItfから取得したインターフェースも一緒に無効になります。
engineEngineがSafeDestroyではなくnullptrを代入しているのは、engineObjectをSafeDestroyした時に一緒に消滅しているからです。
次は、WAVファイルをロードして"audio player"を作ってみます。
CreateAudioPlayerで、WAVファイルの特性(ステレオ/モノラル、サンプリングレート、ビット数)に合わせた"audio player"を生成します。WaveFormatExはWindows APIにあるWAVEFORMATEX構造体で、この情報からSLDataFormat_PCM構造体を構築します。リファレンス通りに書くとまたコードが長くなりそうですが、例えばSL_SAMPLINGRATE_44_1は44100000と定義されていたりします。samplesPerSecondを1000倍して代入すれば良いわけです。事前定義値は https://www.khronos.org/registry/sles/api/1.1/OpenSLES.h にあります。
次はWAVファイルの再生部です。
Enqueueで再生するバッファを指定します。ループ再生する場合はコールバックを登録して、コールバックからEnqueueを繰り返します。コールバック設定前にSL_PLAYSTATE_STOPPEDを明示するのはステートがSL_PLAYSTATE_STOPPEDではない場合にSL_RESULT_PRECONDITIONS_VIOLATEDエラーが発生するためです。これはPlayメンバ関数が二回目に呼ばれた場合に起こります。
これで、OpenSLの初期化からWAVファイルの再生までができました。ところで、この方法だとActivityが非アクティブになっても音が鳴り続けるという問題があります。この解決は次回書きます。
Saturday, December 5, 2015
Luaのrequireで独自ファイルシステム上のスクリプトをロード
requireでAndroidのAPKのassetsフォルダからスクリプトを読み込みたくて、方法を探ってみました。requireはCのincludeに似た使い方をしますが、requireの実体はモジュール名を引数に取るただの関数です。
dofileとrequireはよく似た関数ですが、いくつか違いがあります。まずrequireは通常拡張子".lua"無しでモジュールを指定します。これを実装してみます。
前回、dofileのファイルシステムを置き換えているので置き換え版のdofileを流用することでLuaだけで書けました。厳密にはpackage.pathを考慮していないという問題がありますが、これだけで用足りることも多いと思います。
ところで、requireで比較的重要なdofileとの違いが、重複requireガードです。これはpackage.loadedテーブルにロード結果が記録される事で行われます。実際にテーブルの中身をprintで出力してみると、以下のようになりました。(左がキー、右が値)
また、この値は同じモジュールの二回目以降のrequireで返される値としても使われます。以下の例は、dofileが毎回math.random()を実行するのに対して、requireは初回呼び出し時の値をpackage.loadedにキャッシュする事を確かめるものです。
以上を踏まえたファイルシステム置き換え版のrequireは以下のようになります。
dofileとrequireはよく似た関数ですが、いくつか違いがあります。まずrequireは通常拡張子".lua"無しでモジュールを指定します。これを実装してみます。
前回、dofileのファイルシステムを置き換えているので置き換え版のdofileを流用することでLuaだけで書けました。厳密にはpackage.pathを考慮していないという問題がありますが、これだけで用足りることも多いと思います。
ところで、requireで比較的重要なdofileとの違いが、重複requireガードです。これはpackage.loadedテーブルにロード結果が記録される事で行われます。実際にテーブルの中身をprintで出力してみると、以下のようになりました。(左がキー、右が値)
debug table: 00C9D770キーを見ると、luaL_openlibsでロードされるLuaの標準ライブラリに混じってrequireでロードしたモジュール(ここではvec4, bind_win, my_classがそれです)の名前が見えます。対して値はそのモジュールをロードした時のreturn値が格納されています。(return値が無い場合はtrue)
vec4 true
coroutine table: 00C98AA8
_G table: 00C92760
package table: 00C98828
math table: 00C9A2D0
my_class userdata: 00C9C3B8
io table: 00C98C38
os table: 00C99880
bind_win true
string table: 00C99FB0
utf8 table: 00C9D6D0
table table: 00C98BE8
また、この値は同じモジュールの二回目以降のrequireで返される値としても使われます。以下の例は、dofileが毎回math.random()を実行するのに対して、requireは初回呼び出し時の値をpackage.loadedにキャッシュする事を確かめるものです。
以上を踏まえたファイルシステム置き換え版のrequireは以下のようになります。
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