(原題:Order from Chaos - Destruction in UE4)
特に重要そうなポイントを要約します
- UE4.23でプレビュー版が搭載される
- 最終的にはNVIDIA PhysXを置き換える
- 破壊の表現に強い
- Niagaraインテグレーション
- 破壊結果でAIのナビゲーションメッシュを書き換える
- モバイルプラットフォームをサポート
- ネットワーク対応
- 物理シミュレーション結果を事前キャッシュすることで負荷を軽量化する機能あり
まず、最終的にはNVIDIA PhysXを置き換える、UE4.23でプレビュー版が搭載される、破壊の表現に強い、などの特徴が挙げられましたが、今回のセッションでは特に破壊表現を中心に解説されています。
今までのUE4の破壊表現の実装方法について振り返っています。単純な破壊可能なメッシュはエディタ上でStatic Meshから生成可能でしたが、より複雑な破壊となるとDCCツール上の編集、アプリケーション側の実装などが必須になり、結果として開発イテレーションが遅くなると解説されていました。
新しいシステムはエディタ上ですべての作業が完結します。
破壊は、あらゆるスケールで可能で、人スケール、ビルのスケール、街の区画スケールを例として挙げられていました。
Niagaraとは密な統合が行われています。
コリジョンの形状は凸状に制限されることはなくなりました。
今までの破壊はゲームに与える影響が限定的でした。例えば道に大きな破片が落ちていた場合AIは単純にぶつかって進めなくなるなど、これをどうするか決めることができませんでした。Chaosはナビゲーションメッシュを変化させます。AIは道に落ちた破片を避けるか乗り越えるか選択することになります。また、壁に空いた穴を通り抜けられる事を認識します。
NVIDIA PhysXはモバイルプラットフォームをサポートしませんでしたが、Chaosはあらゆるプラットフォームで動作します。
アスタリスクがついている「Persistence」と「Network replication」は今は実装できていませんが将来にサポートが予定されているものです。
いくつかの新しい概念が登場します。
Geometry Collectionsは新しいアセットタイプです。Static Meshを束ねて破壊可能な一つの構造を定義します。
1つのGeometry Collectionは1回のドローコールで描画が完了するそうです。
Fracturingとは割れ方を定義するものです。
Clusteringは、1つのGeometry Collectionの壊れ方を階層構造にします。
実演では、Level 1は10個、Level 2は30個まで増え、Level 6は681個までに分けていました。
FieldsとはUE4の「Volume」であり、特定範囲内での物理挙動のパラメータを定義するものと思われます。
実演ではいくつかの定義済みのフィールドがアセットとして用意されていました。
挙動から推測するに「Anchor」フィールドが物理オブジェクトがその場に「留まる」場所を定義し、「Strain」フィールドは銃弾を撃つと発生した破片が外向きの衝撃を受けて飛び散る様を定義、
「Disable」フィールドは、落ちた破片同士が重なってガタガタするのを抑えるために破片をすぐに停止状態にする場所を定義していました。
また、それら機能にBlueprintからアクセス可能であることに言及されていました。
Connection Graphはチャンクの結びつきを定義します。黄色は固定されているチャンクで、青はコネクションが破壊されると落下を始めるという意味のようです。
Cached Simulationsは、非常に大きな物を破壊するときに有用になると思われます。
破壊を事前計算しておくため高速ですが、インタラクト可能で、Cached Simulationの一部に触れた瞬間その部分がキャッシュではない物理挙動を開始するそうです。
Chaosが発生させるイベントはNiagaraからアクセス可能です。Niagaraからは破片の物理及びマテリアルのプロパティを参照可能です。
建物の破壊をエディタ上の編集で作れるようになるのはうれしいですね。
PhysXが無くなるということは既存の物理挙動が変わってしまう可能性があり、エンジンのバージョンを変えるときは気をつけるポイントになりそうです。
ただし、UE4.23でpreviewなのでしばらくはPhysXと共存することになるのかなと思います。
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